高千穂河原

謡蹟めぐり  桜川2 木花咲耶姫と瓊々杵尊の古蹟

木花開耶姫と瓊々杵命の古蹟      (平8・2記)

日本神話によれば、神代は国常立命(くにとこたちのみこと)から伊弉諾(いざなぎ)・伊弉冉(いざなみの)命に至る天神七代と、これに続く天照大神(あまてらすおおみかみ)、天忍穂耳(あめのおしほみみの)命、瓊々杵(ににぎの)命、彦火火出見(ひこほほでみの)命、鵜鴿草葺不合(うがやふきあえずの)命の地神五代で、これに初代天皇として神武天皇が続く。

系譜と、主祭神とした祀る神宮を掲げると次のようになる。

              (霧島神宮)   (鹿児島神宮)
伊弉諾命 ┐             ┌ 瓊々杵命  ┐┌ 彦火火出見命 ┐
     ├ 天照大神 ─ 天忍穂耳 ┘       ├┘        ├
伊弉冉命 ┘              木花開耶姫 ┘  豊 玉 姫  ┘
       (伊勢神宮)(英彦山神宮)



         (鵜戸神宮)     (宮崎神宮)
 ┌ 鵜鴿草葺不合命 ┐
    ┘         ├ 第一代神武天皇 ・・・・ 昭和天皇 ─ 今上天皇
   玉  依  姫 ┘


謡曲に登場するのは、伊弉諾・伊弉冉命、天照大神、瓊々杵命の妃木花開耶姫、彦火火出見命、および神武天皇であり、彦火火出見命と豊玉姫、玉依姫にまつわる興味深い物語もあるが、「和布刈」等の項にゆずることとし、ここでは私が訪ねた木花開耶姫と瓊々杵命の古蹟をとりあげてみる。

高千穂の峯、高千穂河原、霧島神宮    鹿児島県霧

天孫瓊々杵命は天照大神の命により高千穂の峯に降臨し国土統治にあたった。高千穂峯の近くの高千穂河原は昔の霧島神宮の趾で、はじめここに神宮が建立されたが、その後たびたび噴火炎上し、幾星霜を経て今から500年前現在の霧島神宮の地に鎮座された。祭神は瓊々杵命である。

高千穂の峯 高千穂の峯 鹿児島県霧島町 (平7.11) 瓊々杵命はここに降臨し国土統治にあたった

高千穂河原 高千穂河原 鹿児島県霧島町 (平7.11)

霧島神宮 霧島神宮 鹿児島県霧島町 (平7.11)

御舟塚、逢初川、無戸室(うつむろ)跡  宮崎県西都市妻

高千穂の峯に降臨された瓊々杵命ご一行は、よい国を求めて、海路で当時奥深い入江であったと伝えられるこの地、笠狭(かささ)の御崎に到着し、この西都原地方に本拠地を定められたのであるが、この御舟塚はその時神々の乗ってこられた舟がそのまま鎮まった所といわれる。
木花開耶姫は前述のように都萬神社あたりに住んでいたが、ある日散歩の途中、小川で水汲みをしていたところ、瓊々杵命に見初められ結婚の申入れをされた。その場所が逢初川である。
二人は結婚するが、瓊々杵命は一夜明けると土賊征伐に出かけ、数ヵ月して帰ると姫はすでに身ごもっていた。命は他の神の子かと疑ったので、姫は身をもって貞節を示そうと、戸の無い産殿を造り、周囲に火を放ち「もし貴方の子供でなかったら私は焼け死ぬでしょう。貴方の子であれば火で焼け死ぬことなく無事に生まれましょう。」といわれて、彦火火出見命ほか二子を産み、身の潔白を証明したと伝えられる。この産室址が無戸室跡として残っている。

御舟塚 御舟塚 宮崎県西都市妻 (平7.11)  降臨した瓊々杵命は舟でこの地にきた

逢初川 逢初川 宮崎県西都市妻 (平7.11) 木花開耶姫はここで瓊々杵命に見初められた

無戸室碑 無戸室(うつむろ)跡 宮崎県西都市妻 (平7.11) 姫は戸のない産殿に火をつけ身の潔白を証明した

鬼の窟の石、鬼の窟、男狭穂塚・女狭穂塚  宮崎県西都市

この地方に住んでいた悪鬼が木花開耶姫を嫁に欲しいと願ったが、これを断るために父神の大山祇命は、一夜で石造りの舘の建設を所望した。鬼は夜を徹して朝日の出る前に完成した。父神は早速窟の石を一個抜き取り、東方の谷間に投げ込んで未完成の舘とし、鬼の申し出を断った。これがその石で石貫の地名の起源となったという。
近くには鬼の窟の古墳がある。
また、西都原古墳群の中には広大な敷地の男狭穂(おさお)塚・女狭穂(めさお)塚があり、瓊々杵命・木花開耶姫の御陵といわれる。

鬼の窟の石 鬼の窟の石 宮崎県西都市 (平7.11) 鬼の造った館からこの石を抜き取り鬼の申し出を断った

男狭穂塚・女狭穂塚 男狭穂塚・女狭穂塚 宮崎県西都市 (平7.11) 瓊々杵命・木花開耶姫の御陵という

瓊々杵命陵(可愛山陵)、新田神社   鹿児島県川内市

鹿児島県川内市にも瓊々杵命陵がある。可愛(えの)山陵とも呼ばれる。ここでは降臨後はこの地に住んでその生涯を終えたという。隣接の新田神社も命を祀る。

瓊々杵尊稜 瓊々杵命陵(可愛山陵) 鹿児島県川内市 (平7.11)

新田神社 新田神社 鹿児島県川内市 (平7.11)  瓊々杵命を祀る

木花開耶姫を祀る神社  (平14・11記)

今まで掲げたほかに木花開耶姫を祀る神社をいくつか見つけたので紹介する。

静岡市の静岡浅間神社は神部神社、浅間神社、大歳御祖神社の三社を総称して、静岡浅間神社(通称おせんげんさま)と呼ばれているが、浅間神社の祭神は木花開耶姫である。東海の日光と呼ばれるにふさわしい広壮華麗な社殿が連なる。

宇治市の平等院の近くにある県(あがた)神社の祭神も木花開耶姫とされ、古代に地域の守護神として創建されたと伝えられる。平等院が建立されたときにその鎮守社にされたと言われる。

高知市の朝峯神社も木花開耶姫を祀る。霊峰富士山の本宮、浅間神社から勧請された神社とのこと。拝殿の前方には陽根石がある。また、拝殿後方の階段上の本殿後方には女性器を象徴する「甕の巌屋」があるという。この割れ目からは常に水が滴り、その水は涸れることなく、雨でも増えることもない。水が滴り落ちる所に池があり「産井池」というとのこと。

埼玉県狭山市の入間野神社も木花咲耶姫を祀る。近くの「堀兼井」(日本武尊が東征の後立ち寄り清水を湧き出させた)を訪ねた時参詣、姫が祀られていることを知った。

静岡浅間神社 静岡浅間神社 静岡市宮ヶ崎町 (平9.2) 木花開耶姫を祀る

県神社 県(あがた)神社 宇治市 (平8.4) 木花開耶姫を祀る

朝峯神社 朝峯神社 高知市介良 (平9.4) 木花開耶姫を祀る

入間野神社 入間野神社 埼玉県狭山市北入曽 (平13.10) 木花開耶姫を祀る


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