12  旧海軍兵学校



海軍兵学校といえば当時若人の憧れの的であった。中学へ上がれなかった私は受験を諦めざるを得なかったが、それでも後日海軍予備生を志願、短期間ではあったが旅順において同じような教育を受けることが出来た。

昭和53年11月、戦後始めて倉橋島を訪ねたおり、江田島の旧海軍兵学校(現在の海上自衛隊幹部候補生学校)に本物の特殊潜航艇が展示されていると聞き、すぐ隣りの島なので早速訪ねてみた。真珠湾攻撃の一隻の由。戦後33年を経て、自分が乗った特殊潜航艇の実物にめぐり合った時の感激は筆舌に尽くしがたいものがあった。この感激を是非とも家族に伝えたいと思った。

昭和59年3月、私の停年記念旅行で家族一同で瀬戸内を廻る計画を立てたが、家内と長女は勤務の関係で江田島には来れなかったが、長男と一緒にここを訪ね、潜航艇の前で記念撮影。これに乗ったのはお前と年頃だったと話す。後に一句を詠む。


還ることなき艇(ふね)なりと知りつつも  訓練励む君の年頃


資料館には聯合艦隊司令長官山本五十六ほか、日本の海軍を動かしてきた人々の筆跡や、特攻隊員として散った多くの方々の遺書などが陳列されており、見る人の涙を誘っていた。

昭和60年9月、今度は四国松山で開催されるクラス会に出席の途中、妻と一緒に三度訪ねた。

四度目は平成4年9月、蛟竜艇長第17期会と戦友たちと一緒に訪ねた。


一人で訪ねる (昭和53.11)

一人で訪ねる (昭和53.11)



長男と訪ねる (昭和59.3)

長男と訪ねる (昭和59.3)



家内と訪ねる (昭和60.9)

家内と訪ねる (昭和60.9)



戦友と訪ねる (平成4.9)

戦友と訪ねる (平成4.9)







はじめに
1  海軍志願から入隊まで
2  大竹海兵団から旅順へ
3  旅順海軍予備学生教育部
4  大竹海軍潜水学校
5  大竹潜水学校 柳井分校
6  倉橋島基地(大浦突撃隊)
7  小豆島基地(小豆島突撃隊)
8  戦後の小豆島・蛟竜艇長第17期会
9  戦友会 − 旅魂会
10  蛟竜艇長第17期会刊行の著作
11  靖国神社・遊就館
12  旧海軍兵学校
13  海軍思い出の地・行事
あとがき
■ 資料 ■
資料1  旅順海軍予備学生時代、 私の「学生(生徒)作業簿」
資料2  「旅魂」編纂に関するアンケート回答
資料3  宇都大尉  餞の言葉  士官の心得
資料4  海軍時代によく歌った歌
資料5  佐久間艇長を偲ぶ
資料6  出陣賦(辞世の和歌集)
資料7  「嗚呼特殊潜航艇」碑  その建立と除幕式の模様
資料8  蛟竜艇長第17期会総員集合  参加記録
資料9  佐野大和著「特殊潜航艇」  抜粋
資料10  旅魂会  参加記録
資料11  鉾立(恒見)教官  訓話
資料12  田中穂積を偲ぶ
資料13  旅魂会  最終回資料
資料14  孫たちに伝え残したいこと
資料15  ハワイ 真珠湾めぐり
資料16  基地の地図

特殊潜航艇「蛟竜」−高橋春雄・海軍の自分史−

特殊潜航艇「蛟竜」−高橋春雄・海軍の自分史−