資料6  出陣賦(辞世の和歌集)



本文「大竹潜水学校柳井分校」の項参照。昭和20年4月、ここでの訓練を終えて私達は特殊潜航艇蛟竜と同海竜に分かれ、それぞれの任地に赴くこととなったが、その直前、教官より私たち340名に「出陣賦」を書き遺すよう指示があった。

当時もとより、一死もって祖国防衛の楯となる覚悟、その心意気、気概、国を思う心を思いのまま辞世の詩を詠んだのがこの「出陣賦」である。(氏名はイニシアルのみとした)


 
四方の海仇し波風高ければ 龍となりてぞ皇国護らむ   H.K.       

もろともに散らばや散らん若櫻 皇国の春のさきがけとはして S.K.

南溟の護りにつきし父君の 寇讎今や撃つぞ嬉しき M.Y.

天照らす日指し背に負ひ聖戦する 皇武夫の意気天を突く C.W.

潔よく散りにし櫻花を背に浴びて 息吹雄々しく海の竜起つ H.Y.

荒波を潜り進みて大君の 御楯と成りて立つぞ嬉しき K.M

大君の醜の御楯と海くぐる 幾歳後の皇国を思へば S.O.

大君の御楯となりて我も又 敵艦砕きて玉と散らなむ M.I.

偶 成 雄 叫
吾れこそは特攻隊 吾れこそは特攻隊
そのむかし神武の帝 大いなる神潮にのりて
天照す大和の国々 雄叫ぶよ 久米の男子
今は又 大いなる黒潮にのりて 若き血の若き血の
かずかずのいさを 胸にひめ 胸にひめ
ただ黙々と 大わた を 進む M.T.

黒潮の海の底より龍となり 皇国護る機近づけり H.T.

身はたとへ海の藻屑と消ゆるとも 七度咲かん靖国の櫻木 F.U.

わだつみの浪をしくぐりうち咲かん 皇国の防人としてT.K.

君が為四方の丈夫身を捨てゝ 特攻たらむ時ぞこの時 Y.U.

我こそは新防人よ光さす 大和の国を護る強者 H.K.

天つ神護り給へる日の本の 四方の海原吾も守らん Y.T.

神代より承けし皇国我はまた 護りて散らん若櫻花 H.M.

雪に堪へ嵐に堪へて梅が木の 花を咲かせしねばりこそもて K.O.

君が為捧げまつりし若櫻 かぎりある身の勤つくさむ K.N.

行く春を櫻と共に見送りし 散る日ぞ近き身空なりせば S.M.

花散りて富士の高嶺の彌高き Y.S. 

大君の御楯となりて吾行かむ 南の海に敵を求めて Y.F.

神機到来吾蛟龍に打乗りて 此の身捧げて国を守らむ S.T.

大君の御楯と散らむ若櫻 七度変りて醜敵砕かむ H.I.

皇国の為には何か惜しからむ 花と散り行くますらをの身は Y.K.

君が為醜の御楯とわれもまた 沈めしづめむあだし船ども T.I.

君がためここだ集まるあだどもを 沈め沈めむ龍と化りても T.I.

榮尋めて離る友どちよ幸くあれ いづちの涯に砕けちらんも K.I.

醜敵も砕けざらめや丈夫が 生命をかけしこの一打ちに H.K.

命をばかろけくなして我はゆく 南に散りし先輩のあとを K.U.

大君の命かしこみみんなみの 大海くぐる敵を求めて I.O.

襲ひ来る醜の仇ども皆々に 砕き沈めんこの身を以ちて H.K.

千萬年の皇国の春を待ち侘びつ 出で征く軍人に續かざらめや G.S.

同胞の夷討てよの雄叫びに 應へん吾は如何にせばかも K.I.

皇国の御楯となりて軍神の辺に 吾も續きて夷撃ちなむ K.I.

技を練り熱と意気もて体当り 散りてぞ悔いぬ命なりせば M.O.

皇国のため後は見ずしてひたすらに 醜の御楯と敵に当らむ H.S.

ますらをの花と散る身は万代に 皇国守らむ山櫻花 S.S.

国をうれひて征く吾は 南に散りて皇国守らむ Y.N.

神の国犯す奴は一打に 皇国守らむ大和魂 S.N.

七度と人に生れて諸共に 四百余洲の敵を沈めむ S.T.

賤が身も君に捧げし若櫻 香ぐはしき名を千代に留めむ S.T.

俺は的貴様はらと共々に 醜敵を滅し皇国を護らむ K.S.

九柱の軍神に續きて海潜り 巨艦抛りて皇国護らむ E.S.

大君の御楯となりて征く吾は 醜敵を滅し皇国護らむ K.I.

皇国のあけぼの信じ我も亦 護国の神の後に續かむ M.Y.

敵艦にあたりて砕け我が戦友よ 永久のひかりを胸に抱きて T.K.

皇土の春永へに讃へよと 潮路に砕く若櫻花 C.O.

あだし艦砕きて御国を護らむと 征で行く双龍意気盛なり S.T.

荒れ狂ふ太平洋の波静め 唯貫かんますらをの道 O.M.

若櫻蛟龍の意気高らかに 醜の御楯と出でたゝんかな S.I.

いざ征かん道は一條黒潮の 沫と競ふ若櫻花 S.T.

わだつみの守りは国の守りなり いざや征かなん海の固めに S.I.

荒れ狂ふ海の沈めに身を捧げ とはに讃へん靖国の春 T.I.

大海に花とちりゆく丈夫は 大和櫻の永久を祈りて M.K.

海を征く死して甲斐ある君命に 水漬く屍と散りて報いむ K.B.

身を捨てゝ国を守らむ若櫻 敵を求めて唯体当り M.K.

黒潮を只一筋に若櫻 国安かれと散りて行くらむ H.S.

吾れは之れひ弱きながらやり抜かん 千尋の海に身の沈むまで J.O.

魔の海の波より高き君の恩 報ゆる秋ぞ今ぞ来にける I.M.

海藻のかほれる時に国の為 我が身捨ても御稜威まさなむ N.O.

身はたとひ水漬く屍と朽ちぬとも 神洲護持の大義に生きん S.I.

先達の波間に散りし功をば いや継ぎ行かむ醜艦睹め M.I.

荒波に砕くる波ははかなくも わたつみの辺に水の絶えざる K.I.

おほうみに国安かれと散りし友と 共に祈らん祖国の榮を M.T.

荒磯の波にくだくる岩にこそ 天にそびゆる松は生えけり H.S.

すめらぎの大き御楯とうちふるふ 吾が心吹く春の海風 S.O.

君がためなぞ惜しからむ若櫻 玉と砕けて皇国護らむ M.T.

ひたぶるにつとめはげみて今日とはなりぬ 心のちりをはらいはらいて J.T.

大君の御為に捧げん此の命 身も心さえ練り抜いて J.H.

今に見よ龍雲を得ば仇し艦 沈めに沈め皇国清めむ H.S

勇め駒出撃ゆく先は敵艦の 胴腹抜きて天がけらなん K.M.

云へば云へみことかしこみひたぶるに 努め励みていざ行かんかな K.M.

人はば我すめろぎのつはものか 雄叫び擧げし此の地偲ばん K.F.

君のため玉と砕けし神々の みあとしたひて吾も征かなむ M.S.

日の本の男の子と我は歌はれむ いづくの波に身は沈むとも H.M.

瀬戸内に咲いた櫻の人知れず 散ってゆくのも大君の為 H.S.

かきくらす嵐の中をつきすゝみ 輝く光四方に照さん Y.F.

散りゆくは何か惜しまん若櫻 大和島根の固き護りに T.N.

風雲の最中に立ちて靖国の 宮居の櫻花と咲くぞ嬉しき S.T.

ちかづける出陣おもひわが心の はずむことあれどなべて静けし S.K.

聖き地の瀬戸に鍛へし心もて 皇国の花と散るぞ嬉しき T.O.

神潮の盡きぬ流れの潮騒を ?に受けて今し吾れ征く T.F.

四方の海續くぞ神に一ひらも 撃たで散らなむ皇国のため T.S.

皇国に寇なす醜夷の幾萬を 沈めて散らむ大和男子は N.K.

征き征きし後継ぎ征かん千萬に 榮ゆく国に生れ来し吾 N.S.

肉は裂け骨は微塵に砕くとも 斃さで散らじ若櫻花 M.S.

寇の艦皆打ち沈め極みなき 天津日嗣護り奉らむ I.H.

青草の萌出づるこそ若人の 心の深きを偲ばれん S.U.

撃滅の雄叫び猛しますらをの 心ぞすでに靖国にあり S.U.

君が為祈る心は只管に わが身砕きて唯必中 K.S.

君も亦吾も亦散る若櫻 H.S.

大君のしこのみたてと海染む みたみわれらはたのしくもあるか T.N.

我も亦散らむと誓ふ君が為 皇国の春を希ひて M.F.

君が為水漬くかばねとなりぬとも 七度生れ国を護らん J.A.

ますらをは潔く咲かなむ君の為 国の護りに出立つ朝は T.K.

いざ征かん大わたつみを抑しわけて 仇なす諸艦撃ち沈むまで M.T.

たとへ身は御国の春に散らむとも 今日のつとめにまことつくさむ S.S.

はらからの挙げし勳に続かんと 誓い守りて我も征くなり M.S.

わたつみのさかまく海に龍となり 潜りて征きし軍神に續かむ H.N.

みたみわれさかまく波濤かけめぐり 御国護らむ海龍となりて G.F.

世の人の行くてふ道は数多あれど 吾は歩まん殉皇の道 K.T.

われもまたたゞに嗣がなむ国護る 道に生きぬきし祖の心を Y.F.

おそろしき死さへ思へば易きもの 御前の生ける垣となるとは I.A.

大丈夫の御国につくせし勳をば 聞きにしたびに我は奮はむ T.I.

もろともに醜の御楯とたたむかな 焔ともえて皇国護らむ H.M.

黒潮の逆まく波をくゞりゆき 撃ちて沈めむ仇し黒船 N.Y.

皇国の榮ゆる春を唯信じ 戦の場に散るぞ嬉しき K.H.

あらし吹く我が日の本をやがてまた 我が誠にて皇国護らむ S.M.

君が代の千代の壽祈りつゝ 八重の櫻と咲ける嬉しさ K.T.

一筋に神の光ぞ身に浴びて 進み進まむ龍の落し子 R.F.

国おもふ雄心一つ龍となり 神風起し夷はらはむ T.K.

いざともに蛟龍の意気胸にして 撃ち滅さむ醜の夷を H.N.

照る月に光を添へむ清らけく 大和武夫は散りつつ T.T.

雪に堪へ嵐に堪えて初春に咲く花を 何かおしまん御代の曙 H.M.

国思ふ強き心の壮夫が 後を續きて共に砕けむ N.K.

敷島の大和櫻と競はゞや 彌榮えゆく御代を築くに M.T.

あらし吹く御世に捧げん此の誠 只悠久の生にしあれば I.E.

身はたとへ戦の庭に果つるとも 功残さん玉と砕けて M.Y.

身命はかくなるものとうちすてん 散る時に散りて櫻の譽とぞ思ふ K.N.

悠久に天皇の御楯となりて生きる身を 心は常に歓びにけり M.N.

君がため大和心にむちあてし 貫き盡さん肉の果つ迄 M.K.

君が為嵐吹くよに散らむこそ 花を咲かせし甲斐ぞありなむ K.K.

我もまた顧りみなくて大君の 国の守りと海をくぐらん T.T.

今日の日に磨きし剣の武夫が 任のまにまに身を捨てんとぞ Y.F.

ちはやぶる神の心をしづめなば はかなき我も何か悔ゆべき Y.T.

砕けても猶打寄する荒波と なりてぞ国を我は護らん H.M.

散らばやなもゆる想ひをますらをが 雄飛の海を朱にそめつゝ S.M.

我も亦軍神になる身ぞ心して 身つゝしまん散る其の日まで N.I.

必らずや後に續かん回天の 聴きし勳に心しびれて N.I.

国の為捧げ盡くさん此の体 死處に咲くまで只まっしぐら T.Y.

あなうれし夷の船に体当り 陛下の御船と砕くこの身を H.M.

もののふの道に生くるは大和魂 香をぞ残して御代を護らん I.Y.

皇国の海の守りに征で起たむ 迫る仇船肉もて砕き E.M.

教育道身をもて示さん皇国に 児等につゞけといへる楽しさ T.O.

すめろぎの春を想ひて只一すじに 八重の潮路に吾は出て征く T.K.

日本をくつがへさんと攻め来る 敵米英を海に落さで R.K.

白波を朱に染めても護りなん 我身力の續く限りは H.H.

戦ひて戦ひ抜かんわたつみに 御代が春をば固く信じて H.H.

いはがねも射抜きて桑の弓をもて いまぞ征かなむますらをの道 K.S.

醜の身はいづこの波に砕くとも 再び会はむ花の社に K.S.

国護り水漬く屍と朽ちるとも あけぼのを信じ魚と遊ばん S.S

さきがけし神の息吹に身を禊め ひたすら踏まんしのゝめの道 E.H.

遥かなる潮の果に玉と散り 大義に生くと吾は征くなり S.Y.

夷船くだきて散らむすめろぎの 御代の榮をたゞに祈りて K.M.

この命水漬く屍と果てぬとも 咲いて九段の花と散り舞ふ M.K.

大君の勅かしこみ散りゆきし 軍の神に吾も續かん M.I.

咲き初めん吾はやまとの若櫻 散るも散らぬも靖国の道 F.N.

飛行雲故郷思ふ期にあらず(贈分隊長) Y.T.

再びは見ることなけん人なれば 不自然なる程顔を覗けり Y.T.

いくさ人国いやさかを唱へつつ 毛剣もちて海くゞりゆく E.H.

君がためちゞと砕けむ益良雄の 門出祝はん時ぞきにけり R.T.

我も亦先輩に續き海に果つ 幾年後の春を思ひつ K.A.

花と咲き花と散らなむ日の本の 光あまねき春を思ひて M.H.

身はたとひ怒濤の中に果つるとも 海を静めん大和男児は S.T.

一年のたくわへみのる櫻花 思ひをこめし春ぞまたるる Z.T.

いたづらにいかではてなむますらをの またあひがたきよにうまれ来て K.Y.

はたとせをもとめ學びしわが生の その実結ばむ秋ぞ待たるゝ H.O.

皇国の礎護り吾も亦 打ちて砕かむ仇し黒船 K.N.

若櫻面に漲る熱、意気、力 

日本の曙信じ荒磯の 濤と砕けて神となるかも S.T.

散る花よせめてとどめよ良き香 なき後に見る世の人の為 T.M.

国の為君が為とて若人は 水漬く屍と出で征かむとす T.S.

菊水の赤き誠をそのままに うちてしやまむ醜の輩を Y.I.

敷島の大和男子は雄々しくも みことかしこみ今ぞ征くなり S.K.

身はたとへ万里の涯に朽るとも 仇なす国をうちてし止まむ I.S.

国の為只君の為国の為 身もてくだかん驕敵の仇艦 M.N.

打ちよする四方の仇波激しくも 皇国は永久に揺がず S.S.

皇国の永久の榮を身に背ひて いざ散り行かん若櫻花 S.K.

もろこしの雲のはてなる御戦に 身をすてむとすたのしくもあるか T.F.

荒れ狂ふ寄する大濤砕くとも 散りて榮ある御代の礎 K.N.

君が為吾が行く道はわたの原 千重波潜き讐盡すまで K.I.

怒濤なす大海原ぞ吾がすみか 敵艦肴に盃傾けん S.Y.

散らば咲き咲かば散らなむ天皇に まつろはぬ者まつろはすべく A.K.

すめぐにに醜はせまれりちよろずの 神にさきがけ我今ぞ征く T.M.

荒岩に寄せて砕ける波のごと 防人我は打ちて摧けむ M.T.

出で征かん時は来にけり丈夫が 怒涛の海を凪ぎしめむべし I.H.

大君の御楯とたゞに気負ひては 逆巻く涛に躍り出でなむ H.E.

身ほとりに戦近づく防人我の 心ひたすらにたかぶる覚ゆ K.O.

大君に捧げ盡して吾は行く 教へし人に報いん明日は J.H.

君が為散る一ひらは惜しまねど あだには散らじ大和櫻は J.H.

天皇の御代榮えなむこの上に 散り行く我は礎となむ G.I.

身はたとひ水漬く屍となりぬとも 千代に仕へん皇御国に S.O.

わたづみを轟轟にどよもして 醜艦撃たん日こそ近けれ S.M.

天皇の御詔畏み防人の 榮を擔ひて我は行くなり Y.S.

皇国の水漬く屍と神潮の 荒立つ海に夷沈めて G.M.

夫夫に何餞けむ醜の身に 飾るものとてなき散りぎはを K.N.

ひたすらに咲きて競はん若櫻 栄の命を国に捧げて K.K.

天皇の御代榮えむと遥かなる 南の海に我は散りなん N.N.

天つ神嵐な吹かせそその日まで 閑まる内に吾は散りなん M.Y.

日の本の海の護りに吾征かん たゞ皇国の榮え祈りて I.M.

春来ぬと岸辺に櫻花の散り散って 大和島根の安けきを見る A.S.

国護るしこの御楯と散り征かむ 先祖にも告げむ勝ち戦して Y.K.

うち寄せる仇浪如何に高くとも 砕きて進め海の男児 H.K.

見よや人嵐の庭に散る櫻 いかで一花も散らでやはする H.K.

ちぎり来しの和み民のいや榮を 仇船沈め吾は祈らむ Y.Y.

丈夫のかなしきいのち斯くあれと 今年の梅も先づ散りにけり S.K.

大君のしこの御楯と若櫻 明日の御榮えに今日ぞ散りゆく H.M.

皇国のあけぼのおもひいざ征かん 天くつがえす丈夫の道 S.Y.

つかの木のつかの木つきに出で征きて 築き守らむ丈夫の道 K.Y.

君が為何か惜しまむ若櫻 清く砕けて玉と散るらん R.Y,

香を吐きつ散れる櫻花と我は只 昭和の血路切り開くのみ T.N.

神風の吹き初めたりし決戦に 我も急がん海の防人 S.F.

我も亦共に砕けむ敵艦に 巌に當る波の如くに N.F.

敷島の大和島根が武士の 道を極めし後に續かん T.A.

南の海紅にそめ散りゆきし 人の心を我も亦つゞかむ K.A.

龍を咬むきほひをもちて我征かむ 皇御国の君が為には T.M.

大君の御船を戴し我は征く 皇御国の捨石として Y.M.

後の世の春に咲かんと征で立ちて 蕾のわれは只まっしぐら M.Y.

敵艦を屠りし後や春の月 S.O.

敵艦に身を砕き散る波の花 やがて来るべき春を信じて T.T.

君の為七度人と生れ出で 盡さで止まじ大和魂 E.W.

神州の夜明けを信じ先征きし 神の勳をつがんとぞ思ふ Y.U.

浮薄なる外げの香何問はず 乱れし心ここに集めき M.W.

櫻咲くうまし御国に生れ出で 醜の御楯と散るぞ嬉しき H.E.

体あたり自ら爆ぜて海原に 散りしく命惜しけくもなし H.K.

靖国の宮居に咲かん若櫻 東亜の敵を我引受けて S.O.

祖親より享けし命を櫻花 永久の命に咲かせざらめや Y.T.

撃ち撃ちて撃ちてし止まん大君に 仇なす米鬼海の藻屑に K.W.

愚かにもまどへるものも今は只 切り屠るべき剣磨かむ Y.T.

此の命捨てゝ甲斐ある戦争なり 生きて帰らば恥多からむ M.Y.

君がため南の島を血に染めし 幾多の兄の後に續かむ M.H.

南海を血潮に染めし兄達の 尊き命無駄にはさせじ N.O.

今日在りて明日なき命若櫻 後見んものは御代の曙 M.Y.

敷島の嵐に誓ふ若櫻 神の潮に身をば委ねて S.I.

大君の御楯と出し益良夫は 今日を限りの命つくさむ S.T.

征かん哉碧き怒濤の果遠く 皇国の礎として Y.Y.

日の本の男と生れ山櫻 大和島根の香り高めむ Y.M.

みたみわれすごきみふねの長として 死地に投する時ぞ待たるる S.N.

滾る血の思ひは一つ我征かん 永久に榮えん御代を祈りつつ F.N.

誠血は共に宿せし魂なれど 永久に湧かさん苔清水

漉してぞ報ひん祖孫の血に M.N.

如何に醜敵世を断つも 守らでおかん日の本の国 F.S.

しきしまの軍神なる人々の あと引つがん靖国の秋 J.Y.

しきしまの大和男子と生れ来て 醜の御楯と海征く我は R.K又はK.N.

敷島の一億守る特攻に 我選ばれ海潜る M.H.

うけつぎし大和心ぞたゞにやは みよ南に夷船ひしめく J.T.

君が為水漬く屍と散りて後 亡きたらちねに仕へて止まず K.T.

国のためたゞ国のため散りゆかむ 燃ゆる心に魚雷いだきて K.K.

国思ひ止むに止まれず立つからは 命も名をも惜まざらなむ H.N.

大君の醜の御楯と散り行かん やがて来る日の春を思ひて T.N.

わたつみの水底くぐり行く道は 重くたふとくうれしくありけり S.S.

立つ春に笑みて散るより梅が花 萌立つ御代の春を思へば K.K.

身はたとひ大和の嵐に砕くとも 何か惜しまん磯の荒波 Y.T.

死にかはり生きかはりつゝ大君の 御楯と散るぞますらをの道 S.T.

身はたとへ萬朶の櫻と散り行くも 留まり護らん南の海 K.I.

決戦の海を目指していざ行かん 学びの庭に後を頼みて R.M.

やがて来る昭和の曙念じつゝ 敵艦砕き散るぞうれしき S.W.

散るならば今より良きはなかりけり 皇御国を保たんため H.S.

今日も又友の屍を乗越えて 我は行くなり決戦場 G.Y.

やがて散る花にしあれば日の本の 光のこさむ後の後まで M.T.

憶ふ事果せる時ぞたのしけれ 勉め励めよますらをの道 J.M.

若草は千萬代かけて延びゆかむを 七世かゆとも大君の辺に K.F.

押し寄する怒濤をけりて吾はいで 国に仇なす夷しづめん S.S.

皇国の為はかなき命砕くとも 亦押しゆかん荒磯の海 S.M.

醜敵も今こそ知るやこの花ぞ 国を埋めて今ぞ盛りなり T.S.

皇国に誠捧げて丈夫の 玉と砕けむ若櫻 H.U.

身はたとへ水漬く屍と果つるとも 永遠に守らん大和島根を K.I.

日の本の魁けたらむと定めたる 心は涼し秋空に似て Y.S.

あれすさぶ南の海に血を染めて 心に續きて国を護らむ K.O.

大いなる悲願を今は果つるらん 君のためいざ征かん命捧げて S.T.

醜の身を御楯となりてうつし世に 千代萬の国の華ぞ咲かさん S.I.

露の身を思へば軽し花の雪 散るべきときは大和魂 S.S,

一筋の思ふ誠に散りゆかむ 散りて又咲く花をたのみて T.I.

大海原に何とか咲くらん若櫻 今日も嵐に散りし丈夫 G.K.

君のため南の海に散り行くは 日本男子の誇りなりけり K.M.

いや継ぎに伝へ来りし大和島根を 守りて散るぞ若櫻花 D.I.

千萬にわが日の本の榮えなば 嵐に花の散るもうれしき M.S.

七度と残せし訓前高らかに 今ぞ砕けん醜の御楯と M.I.

散る櫻嵐の中に鍛へたる 大和櫻ぞのどには散らじ M.S.

国救ふ血潮にもえて我征かん 敵艦求め太平洋へ K.S.

人ならで神が業なら神潮隊 われ又續き荒海に散る Z.Y.

神州の春の曙信じつゝ 散り征かんかな荒海の底 I.U.

大君の御楯となりて散らんかな 皇国の興廃今ぞ此の秋 H.A.

日の本の散りて甲斐ある若櫻 散るべきときに潔く散りなむ S.I.

君の為水漬く屍といさましく 大和男子の若櫻こそ笑ひて行かむ K.N.

七重八重根こそ強けれ埋め草 彌榮登る御国思ひて S.K.

先駆の仇を討たんと若櫻 誓って大八洲の礎たらむ T.N.

ますらをのやるべき道はこれのみぞ 大君のため死に行くぞ我 C.Y.

天地と共に終へんと吾は征く 日の本てらす御光のもと K.M.

我等今ぞ立たむ 寄せくる夷の息を絶たむと T.K.

寇むかへ雄叫びたかく皇国の 榮おもひて我海くぐる Y.O.

日の本の永久の榮を祈りつゝ 大和島根の礎築かむ M.A.

千よろずの皇国の若櫻 常磐の春を祈りてぞ散る M.N.

萬世に照り輝かん日の本の 御楯と生きし我が身嬉しき E.S.

花は咲け鳥は囀れ吾知らん 唯皇国の春をぞ思ふ M.H.

日の本の春のなごりを呼び起せ 夜半の嵐に我散らんとも S.T.

やがて我征で行く身なりひたすらに 技を磨きて征くのを待たむ H.S.

散りて甲斐ある命はみよと 益良夫の怒は遂に玉と砕けぬ T.T.

身を捨てゝ皇国を護る御石垣 荒濤深く身をや沈めむ Y.T.

散る事の尚早かれと祈るかな 平生が丘の若櫻花 Y.K.

国の為命をすてしますらおが 願うは一つ御代の曙 T.K.

たまきはる命を捧げば名もいらじ 散りて甲斐ある時世しあれば H.N.

九柱の征きてふ道を受つぎて 夷襲ひて蛟龍ち切らむ H.H.

大君の御楯となりて黒船に 砕けて散るは益良男の道 K.M.

いくちたびいのち死ぬとも大君の みことかしこみ黒船打たむ K.M.

水漬く屍と誓ひつゝ 征で行く友の雄々しくもあるか Y.S.

天皇の極みなき世を祈らばや 今は死して夷砕かむ T.K.

貫かむ心のままに征くときゆ 星を仰ぎて物思ひなし  

草莽一死比鴻毛  只恨不見皇国捷

王師東伐米国日  老父勿志告不肖 I.U.

身を捨てて永久に生きむと靖国の 神社の梢の花と咲かなむ H.Y.

靖国の櫻と咲かむ靖国の 神に誓ひて心固くも I.K.

身はたとひ海の彼方に散りぬとも 七度生れ夷をぞうたむ K.K.

かへらじとかねて思ひし若櫻 いで立つ時ぞ気は澄みて在り K.H.

魂となるとも止まじ御国守り 御代の榮に我先がけ K.T.

吾命思へば軽し同胞の もゝ年ち年の幸にかふれば K.Y.

鈴懸の青海原を米英の 血もて覆はむ護持の益良夫 M.F.

さばえなす神のくるまふ聖海の 妖気拂へば君安れ T.I.

かくとだにあらまほしきを荒磯の 波は砕けて玉と散り榮ゆ I.S.

一向に勤めはげまん己が道 やがて散り行く春にそなへて Y.Y.

皇国の春さきがけて散る花ぞ 永久に栄ゆる国の礎 H.S.

海原の碧く深きを吾胸に 永遠の生命に溶け込まむかな T.N.

大御代に純く咲きたる若櫻 散りて甲斐ある命たるらん R.K.

大君の御楯となりて若櫻 今日の嵐に舞ひ上りてむ Y.U.

御楯に生れ御楯に死ぬる身にあれば 後見ん心は御代の曙 S.O.

南海の雲衝き昇る龍神を 仰ぎて我も追はんとするか S.S.

乱れ散る櫻花の中に黎明への 道を進まむ今日の嬉しさ S.F.

身はたとひ御代の嵐に散らうとも 七度咲かん君が世のため S.N.

南風散るもよしのゝ山櫻 菊水薫る秋を迎へん Y.H.

九つの真珠の御名を継ぎ継ぎて 出で立つ夜半は月も冴ゆらむ T.T.

一死千殺撃ちてしやまむ 續けよ武夫轟沈の譜 J.K.

武夫は唯一途に君のため 散りてぞ生れし甲斐はありけれ H.T.

散るもよし散らぬも吉野の山櫻 仇には散らじ大君の辺に H.M.

にくにくし仇す黒船撃ちてし止まじ 御威稜かしこみ身を砕きても Y.Y.

君が代の安きを願ふ大和魂 身は海原の捨石たらん T.T.

大君の御楯と思へば我が命 何惜しからむ若櫻花 M.I.

国のため何かはあらむ此の一死 魚雷となりて裂きて砕かむ M.M.

大君の御為何かは思わざる

いざ征かん皇国の春を祈りつゝ いづこの波に砕け散るとも R.M.

かく散れとさきがけ行きし先輩に 續いて我も敵を斃さん T.T.

敷島の日本の国よ安かれと 櫻かざして我は海行く K.U.

大君の世に立つ此の身榮あらむ 御楯となりて討ちてし止まむ K.I.

大君の御勅かしこみ醜の仇 撃ちてぞ会はむ靖国の森 H.O.

やすらけき国のまもりに散り行かん さくら咲く代にわれさきがけて Y.O.

君がため潔く散りにし神々の あとつぎ征かんつるぎ砥ぎたて M.K.

浮上して星の下灯に我は見ん 西空染む炎沈めし艦を K.K.

瀬戸の海の小島の影の若櫻 春の嵐をなんぞ嘆かん K.S.

天照らす神が御楯てし国柱 ゆるがすものは討てし止まん T.I.





はじめに
1  海軍志願から入隊まで
2  大竹海兵団から旅順へ
3  旅順海軍予備学生教育部
4  大竹海軍潜水学校
5  大竹潜水学校 柳井分校
6  倉橋島基地(大浦突撃隊)
7  小豆島基地(小豆島突撃隊)
8  戦後の小豆島・蛟竜艇長第17期会
9  戦友会 − 旅魂会
10  蛟竜艇長第17期会刊行の著作
11  靖国神社・遊就館
12  旧海軍兵学校
13  海軍思い出の地・行事
あとがき
■ 資料 ■
資料1  旅順海軍予備学生時代、 私の「学生(生徒)作業簿」
資料2  「旅魂」編纂に関するアンケート回答
資料3  宇都大尉  餞の言葉  士官の心得
資料4  海軍時代によく歌った歌
資料5  佐久間艇長を偲ぶ
資料6  出陣賦(辞世の和歌集)
資料7  「嗚呼特殊潜航艇」碑  その建立と除幕式の模様
資料8  蛟竜艇長第17期会総員集合  参加記録
資料9  佐野大和著「特殊潜航艇」  抜粋
資料10  旅魂会  参加記録
資料11  鉾立(恒見)教官  訓話
資料12  田中穂積を偲ぶ
資料13  旅魂会  最終回資料
資料14  孫たちに伝え残したいこと
資料15  ハワイ 真珠湾めぐり
資料16  基地の地図

特殊潜航艇「蛟竜」−高橋春雄・海軍の自分史−

特殊潜航艇「蛟竜」−高橋春雄・海軍の自分史−