資料4  海軍時代によく歌った歌



海軍時代よく歌った軍歌


海 ゆ か ば

一 海ゆかば 水漬くかばね
山ゆかば 草むすかばね
大君の 辺にこそ死なめ
かえりみはせじ

二 海ゆかば 水漬くかばねz
空ゆかば 雲染むかばね
大君の 辺にこそ死なめ
かえりみはせじ


軍艦行進曲

一 守るも攻めるもくろがねの
浮べる城ぞ たのみなる
浮べるその城 日の本の
みくにの四方を守るべし
まがねのその艦 日の本の
仇なす国を攻めよかし
海行かば水漬くかばね
山行かば草むすかばね
大君の辺にこそ死なめ
のどには死なじ

二 いわきの煙はわだつみの
たつかとばかりなびくなり
弾丸たまうつひびきはいかづちの
声かとばかりどよむなり
万里の波濤をのりこえて
みくにの光 輝やかせ


同 期 の 桜

一 貴様と俺とは同期の桜
同じ旅順の庭に咲く
咲いた花なら散るのは覚悟
見事散りましょ 国の為

二 貴様と俺とは同期の桜
同じ旅順の庭に咲く
血肉分けたる仲ではないが
何故か気が合うて別れられぬ

三 貴様と俺とは同期の桜
別れ別れに取ろうとも
花の都の 靖国神社
春の梢に咲いて逢おうよ


艦 船 勤 務

一 四面海なる帝国を 
守る海軍軍人は
戦時平時の別ちなく 
勇み励みて勉むべし

二 如何なる堅艦快艇も 
人に力に依りてこそ
その精鋭を保ちつつ 
強敵風波に当り得れ

三 風吹き荒すさび波怒る
海を家なる兵つわものの
職務は種々にかわれども
盡す誠は唯一つ

四 水漬く屍と潔く
生命いのちを君に捧げんの
心誰かは劣るべき
つとめは重し身は軽し

五 熱鉄身を焼く夏の日も
風刃ふうじん身を切る冬の夜も
忠と勇との二文字を
肝に銘じて勉むべし


若 鷲 の 歌

一 若い血潮の 予科練の
七つ釦は 桜に錨
今日も飛ぶ飛ぶ 霞ヶ浦にゃ
でかい希望の 雲が湧く

二 燃える元気な 予科練の
腕は黒がね 心は火玉
さっと巣立てば 荒海こえて
ゆくぞ敵陣 殴り込み

三 仰ぐ先輩 予科練の
手柄きくたび 血潮がうずく
ぐんと練れ練れ 攻撃精神
大和魂にゃ 敵はない

四 生命惜しまぬ 予科練の
意気の翼は 勝利の翼
見事轟沈した 敵艦を
母へ写真で 送りたい


轟  沈

一 かわいい魚雷といっしょに積んだ
青いバナナも黄色くうれた
男世帯は気ままなものよ
ひげも生えます ひげも生えます
不精ひげ

二 針路西へと波また波の
しぶききびしい見張りは続く
初のえものにいつの日会える
今日も暮れるか 今日も暮れるか
腕がなる

三 轟沈轟沈 凱歌が上がりゃ
つもる苦労も苦労にゃならぬ
嬉し涙に潜望鏡も
曇る夕日の 曇る夕日のインド洋

四 のぼる朝日に十字の星に
想い遙かな緑の基地よ
友も笑顔で待っててくれる
国の便りも 国の便りも 待っている


如何に狂風

一 如何に狂風吹きまくも
如何に怒濤は逆まくも
たとえ敵艦多くとも
何恐れんや義勇の士
大和魂充ち満つる
我等の眼中難事なし

二 維新このかた訓練の
技倆試さん時ぞ来ぬ
我が帝国の艦隊は
栄辱生死の波分けて
渤海湾内乗り入れて
撃ち滅さん敵の艦

三 空飛びかける砲丸に
水より踊る水雷に
敵の艦隊見る中に
皆々砕かれ粉みじん
艫より舳より沈みつつ
広き海原影もなし


回天金剛隊の歌

一 沖の島過ぎ祖国を遠く
敵をもとめて波万里
空母、戦艦ただ一撃と
今ぞ出で立つ金剛隊

二 流れも清き湊川の
旗の光をいま承けて
先にゆきたる菊水隊の
挙げしいさおに続かばや

三 聖戦(おおみいくさ)も四年(よとせ)の春を
南の海に迎えつつ
必勝のとき今来たれりと
先ずさきがけん金剛隊

四 若き血は湧き肉踊るかな
てい身必殺醜敵を
砕き沈めて千代八千代にも
皇御国(すめらみくに)を 護らなん
皇御国(すめらみくに)を 護らなん


海の決死隊

一 ああ瀬戸内の海深く
書いて残した艇長の
血汐の遺書が華と咲く
男、誓って起たつからは
戦(いくさ)の花だ潜水艦

二 男、一度びたつからは
命もいらぬ名もいらぬ
恐れてなるか海の中
俺の最後はここだぞと
決めて見上げる軍艦旗

三 水漬く屍と海くぐる
男度胸の戦艦(いくさぶね)
友よ喜べほめてくれ
世紀の海を乗り越えて
厳たり海の決死隊


海 の 猛 者(つわもの)

一 勇ましく出港用意の
ラッパが響きゃ
何の未練も残しゃせぬ
水漬く屍とこの身を捨てて
今ぞ乗り出す太平洋

二 住みなれし母港よさらばと
見返る空に
遙か三浦の山や丘
椿咲くかよあの大島を
越せば黒潮渦を巻く


月月火水木金金

一 朝だ夜明けだ潮の息吹き
ぐうんと吸い込むあかがね色の
胸に若さの漲る誇り
海の男の艦隊勤務
月月火水木金金

二 度胸ひとつに火のような錬磨
旗は鳴る鳴るラッパは響く
行くぞ日の丸日本の艦だ
海の男の艦隊勤務
月月火水木金金





はじめに
1  海軍志願から入隊まで
2  大竹海兵団から旅順へ
3  旅順海軍予備学生教育部
4  大竹海軍潜水学校
5  大竹潜水学校 柳井分校
6  倉橋島基地(大浦突撃隊)
7  小豆島基地(小豆島突撃隊)
8  戦後の小豆島・蛟竜艇長第17期会
9  戦友会 − 旅魂会
10  蛟竜艇長第17期会刊行の著作
11  靖国神社・遊就館
12  旧海軍兵学校
13  海軍思い出の地・行事
あとがき
■ 資料 ■
資料1  旅順海軍予備学生時代、 私の「学生(生徒)作業簿」
資料2  「旅魂」編纂に関するアンケート回答
資料3  宇都大尉  餞の言葉  士官の心得
資料4  海軍時代によく歌った歌
資料5  佐久間艇長を偲ぶ
資料6  出陣賦(辞世の和歌集)
資料7  「嗚呼特殊潜航艇」碑  その建立と除幕式の模様
資料8  蛟竜艇長第17期会総員集合  参加記録
資料9  佐野大和著「特殊潜航艇」  抜粋
資料10  旅魂会  参加記録
資料11  鉾立(恒見)教官  訓話
資料12  田中穂積を偲ぶ
資料13  旅魂会  最終回資料
資料14  孫たちに伝え残したいこと
資料15  ハワイ 真珠湾めぐり
資料16  基地の地図

特殊潜航艇「蛟竜」−高橋春雄・海軍の自分史−

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