私の履歴書49   寺社詣で(四国88ヶ所)

西国、坂東、秩父と百観音の巡拝を終えると、平成12年から13年にかけバスツアーに参加、三回に分けて四国八十八ヶ所を巡拝した。


第1回は平成12年9月、空路徳島に到着5日間かけて35の寺を廻った。空港で待機していたバスに乗る。先達の岩本良彦さんの指示で、白衣、わげさ、笠、杖などの巡礼姿に変身、一段落したところで般若心経などが書かれた「常用勤行次第」を渡され、これからお詣りする寺で唱える個所の説明がある。そのほか、金剛杖は橋の上ではついてはいけない、笠は梵字の書いてあるほうを前にしてかぶる、線香やローソクは他の人の火からもらってはいけない、など参詣に関するいろいろのアドバイスがある。今までの札所は個人で廻ったので礼拝の作法も自己流であったが、今回は教えられることが多かった。


第1番鳴門市の霊山寺、第6番安楽寺の宿坊での勤行、12番の焼山寺の遍路の元祖衛門三郎の物語、第23番薬王寺から眺める太平洋、室戸岬突端の第24番最御崎寺に至る険しいへんろ路など印象深い。またいたる所に咲き乱れる曼珠沙華、コスモス、ススキ等も深まり行く秋を感じさせてくれた。


第2回は平成12年10月、高知県の第36番青龍寺からスタート、松山を経て高松まで5日間の道程であるが、足摺岬の第38番金剛福寺までの道のりは遠い。曲がりくねった山道の長時間のドライブに家内はすっかりクルマに酔ってしまった。傍らでそれを見ていた私も持病の喘息の発作気味となり咳が止まらない。家内のクルマ酔いは翌日には薬のおかげで良くなった。私の咳はとまらないが、旅を続けることとした。宿坊泊りの時は同じ部屋に大勢寝るので、皆さんに迷惑にならぬよう、咳が出そうになると、ネブライザーを抱えて室外の洗面所で吸入したりしての、難行苦行の5日間であった。帰京後かかりつけの病院で診察を受けたところ、即入院となり10日間の病院生活となってしまった。


病気は回復したが、冬の間はツアーはやっていないので、春になるのを待ち平成13年3月第3回のツアーに参加した。71番から88番までと高野山を4日間で廻るものである。今回は菜の花や桜の花が見事であった。第88番の大窪寺で、「四国八十八ヶ所結願の証」をいただき淡路島から船で高野山に渡る。高野山では弘法大師御廟にお礼詣りをし、金剛杖と笠を納めた後、大師教会で「戒」を受けることとなり、一行36名を代表して暗闇の中転ばぬよう注意しながら三段ほどの段を上がり受領したのは得がたい体験であった。



四国八十八ヶ所と勤行


平成12年秋から13年春にかけて、近畿日本ツーリストのバスツアーに参加し、三回に分けて四国八十八ヶ所を巡拝した。西国、秩父、坂東の札所は個人で廻ったので巡拝の作法も自己流であったが、四国では先達の方が案内してくれる。バスの中でお寺の由緒や寺に伝わる話などを紹介してくれ、お寺に着くと本堂と大師堂で二回、勤行と云ってお経を唱える。旅行社から配布された「こころの旅 勤行次第」により、先達指導のもと一同合誦する。


お寺によって御本尊が違うので、その寺によって御真言は違うが、バスの中では毎日一、二回全部の御本尊の御真言を唱えていた。最初の頃は何か気恥ずかしいようで大きな声が出なかったが、馴れるにつれて声が出るようになり、それが大勢の方々の声と調和するとなんとも言えない有難い気分になる。


従来自宅では家内と一緒に朝夕二回、般若心経を三回づつ唱えていたが、四国参拝に参加するようになってからは、朝夕この勤行を唱えるようになった。参考までに、その全文を紹介してみる。



「こころの旅  常用勤行次第」 (括弧内は唱えない)

(○ 開経偈 一遍)

無上甚深微妙法 百千萬劫難遭遇 我今見聞得受持 願解如来真実義

(○ 懺悔文 一遍)

我昔所造諸悪業 皆由無始貪瞋癡 従身語意之所生 一切我今皆懺悔

(三歸  三遍)

弟子某甲 盡未来際 歸依佛 歸依法 歸依僧

(三竟  三遍)

弟子某甲 盡未来際 歸依佛竟 歸依法竟 歸依僧竟

(十善戒 三遍)

弟子某甲 盡未来際 不殺生 不偸盗 不邪淫 不妄語 不綺語 不悪口 不両舌 不慳貪 

不瞋恚 不邪見

(発菩提心真言 三遍)

おんぼうぢしった ほだはやみ

(三昧耶戒真言 三遍)

おんさんまやさとばん


(○ 般若心経 一遍)

佛説摩訶般若波羅蜜多心経

観自在菩薩。行深般若波羅蜜多時。照見五蘊皆空度一切苦厄舎利子。色不異空。空不異色。色即是空。空即是色。受想行識。亦復如是。舎利子。是諸法空相。不生不滅。不垢不浄。不増不減。是故空中。無色無受想行識。無眼耳鼻舌身意。無色声香味触法。無眼界。乃至無意識界。無無明。亦無無明尽。乃至無老死。亦無老死尽。無苦集滅道。無智亦無得。以無所得故。菩提薩た。依般若波羅蜜多故。心無け礙。無け礙故。無有恐怖。遠離一切。顛倒夢想。究竟涅槃。三世諸佛。依般若波羅蜜多故。得阿褥多羅。三藐三菩提。故知般若波羅蜜多。是大神呪。是大明呪。是無上呪。是無等等呪。能除一切。真実不虚。故説般若波羅蜜多呪。即説呪曰。

羯諦羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提薩婆訶 

般若心経


(御本尊御真言 御真言の部分三遍)

不動明王の御真言には のうまくさんまんだ、ばざらだん、せんだまかろしゃだ、そわたや うんたらた、かんまん、

釈迦如来の御真言には のうまくさんまんだ、ぼだなん、ばく

文殊菩薩の御真言には おん、あらはしゃのう

普賢菩薩の御真言には おん、さんまや、さとばん

地蔵菩薩の御真言には おん、かかかびさんまえい、そわか

弥勒菩薩の御真言には おん、ばいたれいや、そわか

薬師如来の御真言には おん、ころころ、せんだり、まとうぎ、そわか

観世音菩薩の御真言には おん、あろりきゃ、そわか

勢至菩薩の御真言には おん、さん、ざん、ざんさく、そわか

阿弥陀如来の御真言には おん、あみりた、ていぜい、からうん

阿門如来の御真言には おん、あきしゅびや、うん

大日如来の御真言には おん、あびらうんけん、ばざらだとばん

虚空蔵菩薩の御真言には のうぼう、あきゃしゃ、きゃらばや、おんあり、きゃまり、ぼり、そわか

千手観世音菩薩の御真言には おんばざらたらまきりく

聖観世音菩薩の御真言には おんあろりきゃそわか

馬頭観世音菩薩の御真言には おんあみりとうどばんばうんはった

十一面観世音菩薩の御真言には おんまかきゃろにきゃそわか

大通智勝佛の御真言には 南無大通智勝佛

毘沙門天の御真言には おんべいしらまんだやそわか

(光明真言 三遍)

おん。あぼきゃ。べいろしゃのう。まかぼだら。まに。はんどま。じんばら。はらばりたや。うん。

(高祖弘法大師御宝号 三遍)

南無大師遍照金剛

(祈願)

(回向の文 一遍)

願くばこの功徳を以って普く一切に及ぼし我等と衆生と皆共に佛道を成ぜん

1番霊山寺にて (平12.9)
1番霊山寺にて (平12.9)

72番安楽寺の勤行 (平13.3)
72番安楽寺の勤行 (平13.3)

24番室戸山最御崎寺のへんろ路 (平12.9)
24番室戸山最御崎寺のへんろ路 (平12.9)

曼珠沙華の花 小松島市 (平12.9)
曼珠沙華の花 小松島市 (平12.9)

総本山善通寺参拝記念 (平13.3)
総本山善通寺参拝記念 (平13.3)

72番曼荼羅寺の桜 (平13.3)
72番曼荼羅寺の桜 (平13.3)

88番大窪寺付近のへんろ路 (平13.3)
88番大窪寺付近のへんろ路 (平13.3)

88番結願の寺大窪寺にて (平13.3)
88番結願の寺大窪寺にて (平13.3)

四国八十八ヶ所御朱印 掛軸
四国八十八ヶ所御朱印 掛軸



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