私の履歴書55   好きなうた(小学校のころ)

故  郷

1 兎追いしかの山 小鮒釣りしかの川

夢は今もめぐりて 忘れがたき故郷

2 如何にいます父母 つつがなしや友がき

雨に風につけても 思いいずる故郷

3 志をはたして いつの日にか歸らん

山は青き故郷 水は清き故郷

(ふるさとはありがたきかな)


冬 の 夜

1 ともしび近く 衣縫う母は

春の遊びの楽しさ語る

居並ぶ子どもは指を折りつつ

日数数えてよろこび勇む

いろり火はとろとろ 外は吹雪

2 いろりのはたに縄なう父は

過ぎしいくさの手柄を語る

居並ぶ子どもは眠さ忘れて

耳をかたむけこぶしを握る

いろり火はとろとろ 外は吹雪

(幼い頃のわが家を歌っているよう)


荒 城 の 月

1 春高楼の花の宴 めぐる盃かげさして

千代の松が枝わけいでし 昔の光今いずこ

2 秋陣営の霜の色 鳴きゆく雁の数見せて

植うる剱に照りそいし 昔の光今いずこ

3 いま荒城のよわの月 変らぬ光たがためぞ

垣に残るはただかづら 松に歌うはただ嵐

4 天上影は変らねど 栄枯は移る世の姿

写さんとてか今もなお嗚呼荒城のよわの月

(竹田市の岡城が目に浮かびます)


朧 月 夜

1 菜の花畠に入り日薄れ

見渡す山の端霞深し

春風そよ吹く空を見れば

夕月かかりてにおい淡し

2 里わの火影も森の色も

田中の小径をたどる人も

蛙のなくねもかねの音も

さながら霞める朧月夜

(これも「故郷」と同じ高野辰之作詩)


螢 の 光

1 螢の光 窓の雪 

ふみよむ月日 重ねつつ

いつしか年も すぎの戸を

あけてぞ今朝は 別れゆく

2 とまるも行くも 限りとて

かたみに思う ちよろずの

心のはしを ひとことに

さきくとはかり 歌うなり

(小学校時代を思いおこします)


さ く ら

さくら さくら

弥生の空は 見渡すかぎり

霞か雲か 匂いぞ出ずる

いざや いざや 見にゆかん

(日本の代表曲だと思います)


美しき天然

1 空に囀る鳥の声 峰より落つる滝の音

大波小波とうとうと 響き絶えせぬ海の音

聞けや人々面白き この天然の音楽を

調べ自在に弾きたもう 神の御手の尊しや

2 春は桜のあや衣 秋は紅葉の唐錦

夏は涼しき月の絹 冬は真白き雪の布

見よや人々美しき この天然の織物を

手際見事に織りたもう神のたくみの尊しや

3 うす墨ひける四方の山 紅匂う横がすみ

海辺はるかにうち続く 青松白砂の美しさ

見よや人々たぐいなき この天然の美しさ

筆も及ばずかきたもう 神の力の尊しや

(母がよく歌っていた懐かしい歌です)


旅   愁

1 更け行く秋の夜 旅の空の

わびしき思いに ひとりなやむ

恋しやふるさと なつかし父母

夢路にたどるは さとの家路

2 窓うつ嵐に 夢もやぶれ

遙けき彼方に 心迷う

恋しやふるさと なつかし父母

思いに浮ぶは 杜のこずえ

(上京し在学の頃よく歌いました)

「故郷」の歌碑 長野県豊田村 高野辰之記念館 (平7.11)
「故郷」の歌碑 長野県豊田村 高野辰之記念館 (平7.11)

「冬の夜」いろりのはた 母の実家 新潟県(昭33.4)
「冬の夜」いろりのはた 母の実家 新潟県(昭33.4)

「荒城の月」歌碑 大分県竹田市 岡城址 (平3.10)
「荒城の月」歌碑 大分県竹田市 岡城址 (平3.10)

岡城址 「荒城の月」<br />  作曲者滝廉太郎の像もある 大分県竹田市 (平3.10)
岡城址 「荒城の月」
  作曲者滝廉太郎の像もある 大分県竹田市 (平3.10)

「美しき天然」歌碑<br />  作曲者田中穂積は九十九島の風景に魅せられ作曲した佐世保市九十九島遊覧船のりば(平11.11)
「美しき天然」歌碑
  作曲者田中穂積は九十九島の風景に魅せられ作曲した佐世保市九十九島遊覧船のりば(平11.11)

「美しき天然」歌碑と田中穂積胸像 山口県岩国市 (昭53.11)
「美しき天然」歌碑と田中穂積胸像 山口県岩国市 (昭53.11)



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「日々是好日」 −高橋春雄・私の履歴書−