資料   「KDD宝生会 30周年記念誌」より   昭59年4月発行

      発 刊 の こ と ば


                   KDD宝生会会長 高 橋 春 雄


 昭和29年4月、当時KDD本社のあった丸の内三菱21号館の一室において、村本脩三先生ご指導のもと、謡曲「竹生島」のけい古を始めた時が、今から思えばKDD宝生会が発足した時となりますが、それから早くも30年が経過いたしました。

 この歳月のなかで、村本先生、田近先生、秋元先生のお人柄と熱心なご指導により、着実な発展をとげてまいりましたことは、誠にご同慶の至りに存じます。

 現在、当サークルの会員は70数名となっておりますが、退職、転勤等により退会された方を含めた、いわゆる当サークルに籍を置いたことのある方々の数は、実に120名をこえております。

 30 年の間、私どもサークルにおけるけい古、例会等のサークル活動を行なってきたのは当然でありますが、幸い、KDDには観世流の親謡会(本社)、鳳声会(東報)、国謡会(大阪)、慶謳会(名古屋)という謡曲のサークルがございますので、これらサークルともお互いに連携を保ち、故古池信三相談役のご参加もいただきながら、末広会(全国大会)、讃和会(東京地区大会)の名の下に定期的に合同謡会を開催し、親睦を深めてまいりました。

 また、在京の宝生流官庁実業団連盟にも加盟し、観能、寒げい古、土用げい古等を通じて、社外の流友との交流を図るとともに、毎年開催の大会にも連続20回無本で参加、数々の表彰状を受領いたしました。

 なお、会員の中でも謡歴のかなり古い人(現在までに10名程度)は、村本先生や秋元先生の師匠である本職の渡邊三郎師(無形文化財保持者)に直接師事し、先生の会(渡雲会)には素謡のみでなく、能、舞囃子、仕舞等に出演する機会も与えられております。また、直接師事していない会員のためには孫弟子会(双葉会)が開催され、プロの大先生に直接批評をいただく機会もございます。

 以上のように、サークル内のけい古、例会を通し、また、他サークルとの合同謡会、さらには社外の流友との交流を通して、会員個々の方々もそれぞれ「謡曲15徳」にいわれる数々の楽しみを味わってこられたのではないかと思っております。

 今回、当サークルの発足30周年を記念し、資料を整備してその足跡をたどるとともに、座談会記事、会員の方々の所感などをも収録して、小冊子を発行することとなりました。会員相互間またサークル外の流友と、ますます親睦の輪を広げていく一助ともなれば幸甚に存じます。

 最後に、ご寄稿、ご寄付をいただいた方々、ならびに資料の整理、編集、装幀、印刷等に絶大なご支援を賜わりました各位に深甚な感謝の意を表し、厚くお礼申しあげます。




         懐   古

                       経理部  高 橋 春 雄


 「往事渺茫としてすべて夢に似たり」(善知鳥の一節)

 30年をふりかえるとまさに渺茫たる感があるが、想い出すままを連想ゲームのように単語で連ねてみようと思う。


○ 三菱21号館―大手町ビル地下和室―新宿分室―タイムライフビル―産経会館―葵荘―KDDビル

○ 村本先生―田近先生―秋元先生―児玉先生―阿部先生―丸山先生―冨田先生―小嶋先生―長島先生

○ 親謡会―鳳声会―国謡会―慶謳会―末広会―讃和会―渡雲会―青葉宝生会―弥生会―春雲会―官実連

○ 雑誌「宝生」―宝生流・声の百番集―宝生流旅の友―地拍子謡本―謡曲大観―謡曲集―謡曲ゆかりの古蹟大成―声の名曲集

○ 能―渡邊三郎師―蝉丸―土蜘―夜討曽我―紅葉狩―草紙洗

○ 能楽堂―水道橋―宝生―金沢―観世―喜多―矢来―鎌倉―杉並―香里―MOA

○ 舞台―渡雲会―新宿会館―武田修能館―品川郵政クラブ―修善寺あさば旅館―今井舞台―野村万蔵舞台

○ 西浦―熱海―鳥羽―三ケ根―岐阜―京都―修善寺―浜名湖

○ 奈良―ホテル三笠温泉―飛鳥―甘樫丘―大和三山―畝傍―斑鳩―法隆寺―中宮寺・弥勒菩薩半跏像―アルカイックスマイル

○ 酒―後シテ―反省会―三喜―猩々―大江山―紅葉狩―羅生門

○ 祝―30周年記念―高砂―鶴亀―七宝―五雲

○ 祈―村本・田近両先生御回復―KDD宝生会・流儀益々発展―丸山氏御冥福

○ 不行知名所―不老知古事―無友慰閑居 



主な内容

巻頭写真   50枚

祝  辞   6名より

三十年のあゆみ 秋元亮一

座談会    30年の歩みとこれから

会員感想文  55名

サークル紹介記事 雑誌「宝生」 「KDD誌」

資  料   会則、名簿、幹事一覧、出演年表、会合記録、渡雲会出演記録

       年表、個人別出演記録

KDD宝生会 30周年記念誌 昭和59.4
KDD宝生会 30周年記念誌 昭和59.4



次に進む: 秋元亮一を偲ぶ

  前に戻る: 日中・沖台ケーブル会議余話
  「はじめに」に戻る

私の履歴書

「日々是好日」 −高橋春雄・私の履歴書−