北野天満宮

謡蹟めぐり  胡蝶 こちょう

ストーリー

吉野の奥に住む僧が上京し、一条大宮の辺りにやって来ます。そこに由緒深げな古い御所があり階段の傍らに梅が今を盛りと咲いています。僧が眺めていると一人の里女が現れ声をかけます。女は僧の問うままに御所の謂われや梅花の季節の優雅な賑わいを語ります。
女は僧に素姓を尋ねられ、実は自分は胡蝶の精だと明かします。そして春夏秋の花々と戯れる身でも梅の花とは無縁で悲しく思っているので、ここに現れ、法華経の功徳で成仏したいと告白します。そして荘子が夢で胡蝶になったという故事や、光源氏が舞人に胡蝶の舞いをさせ船遊びをしたことなどを語り、僧の夢の中に姿を見せると約束して消えます。
僧が花の下陰に仮寝をしていると、その夢に胡蝶の精が現れ、経文の功力により梅花とも縁を得たことを喜び、花に飛び交う胡蝶の舞いを見せて霞の中に紛れ去ります。(「宝生の能」平成13年1月号より)

一条大宮通り  京都市上京区   (平8・2記)

曲中に「此の所を人に尋ねて候へば、一条大宮とやらん申し候」とある。京都市上京区の大宮通りと一条通りの交差するあたりを歩いてみたが、狭い通りに古い軒並みが続いている平凡な裏町といった感じで、よしありげなる古宮らしいものも見当たらず、梅花に戯れる胡蝶の姿を想像するような雰囲気ではなかった。
しかし、往時このあたりは御所にも近かったようで、由緒ある宮も建ち並び、その境内には梅の花も咲き匂い、花を求める蝶も飛び交い、これを愛でる大宮人がのんびりと散策していたことであろう。
現在このような雰囲気を残している格好な場所はないものかと思案しているうちに、ふと北野天満宮を思い浮かべた。ここなら場所も一条通りに近く、古宮もあり梅の花の名所でもある。梅の頃訪ねたことがあると思い古いアルバムを取り出してみた。昭和57年3月に訪ねている。紅梅、白梅ともみごとであった。そのうちの1枚、北野天満宮と紅梅の写真を掲げてみる。おそらく一条大宮あたりも往時はこのような雰囲気を保っていたことであろう。

一条通り 一条大宮通り付近 京都市上京区 (平5.9)

北野天満宮 北野天満宮 京都市上京区 (昭57.3)

大極殿遺址碑 京都市上京区  (平14・10記)

このあたり一帯は平安遷都にあたって大内裏の置かれたところである。現在の千本通りはかっての朱雀大路にあたり、その東北に内裏(皇居)があったという。大極殿は朝堂院の正殿にあたり、壮麗な建物があったが、1177年に焼失した。内裏はそれ以前に火災によって仮の御所に移り、大内裏の建物は徐々に失われて、応仁の乱で全く焼失した。
今千本通りから少し入った児童公園の中に玉垣に囲まれた「大極殿遺址」の石碑が立つのみである。

大極殿遺址碑 大極殿遺址碑 京都市上京区小山町 (平10.4)


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