檜原神社

謡曲の魅力

謡曲は、一般には、馴染みがうすいものかもしれませんね。
特に、若い世代の方は、触れる機会がほとんどないのではないでしょうか。
しかし、何かのご縁で、あなた様は当サイトに立ち寄って下さいました。
折角の機会です。ちょっと、謡曲の世界をのぞいてみませんか。

当サイトの中の曲で、どれでも結構です、一度クリックしてみて下さい。

ちょっと聞き覚えのあるなぁ・・
自分が住んでいる場所に近いよ・・

そんな感じで十分です。

案外、ストーリーが面白かったりするかもしれません。
案外、普段よく知っている場所が「謡蹟」だったりするかもしれません。
ひょんなことから、あなたと謡曲は、つながってくるかもしれませんよ。

謡曲は、歴史の中で培われてきて、今日まで伝えられている、
宝石のようなものです。

このサイトがきっかけで、宝石の輝きをあなたと共有できるとすれば、
それは私の望外の喜びであります。

能の歴史

南北朝から室町初期にかけて、田楽や猿楽の役者たちが、近畿地方の社寺を根拠地として「座」を形成していた。そのなかで大和猿楽四座の一つである結崎座(今の観世流)の観阿弥(1333〜1384)・世阿弥(1363?〜1443?)父子が今日見るような能の基礎を築いた。600年の伝統あり、世界最古の演劇といわれる。
足利、徳川将軍の庇護のもと能は武家の式楽として存続。
明治維新は危機であったが、維新元勲たちの日本国劇振興の方針に支えられて難局を乗り切る。
第二次大戦後、広く一般の支持を受け盛況を保っている。

能を演ずる人々

演技・声楽担当(立チ方)
   シテ方  観世・宝生・金春・金剛・喜多の5流
   ワキ方  3流
   狂言方  3流
器楽演奏担当(囃子方)
   笛・小鼓・大鼓・太鼓

能舞台・能面・能装束

・ 能の舞台には幕がない。舞台が観客席の中央に張り出している。
・ 面をつけるのが原則
・ 豪華な能装束

能と謡の関係

・ 素 謡・・謡のみによって能一曲を聞かせる形式
・ 舞囃子・・舞の見どころを謡と囃子で舞うもの
・ 仕 舞・・舞のみどころを地謡の謡によって舞うもの
・ 連 吟・・謡の聞きどころを複数で謡うもの
・ 独 吟・・謡の聞きどころを独演するもの
・ 小 謡・・ごく短い部分を聞かせるもの

能(謡曲)の数

宝生流の場合、180曲。

謡曲十五徳

1. 不行知名所    行かずして名所を知る
2. 不思登座上    思わずして座上に登る
3. 不馴近武芸    馴れずして武芸に近ずく
4. 在旅得知音    旅に在りて知音を得る
5. 不軍識戦場    軍せずして戦場を知る
6. 不習識歌道    習わずして歌道を識る
7. 不望交高位    望まずして高位と交る
8. 不詠望花月    詠めずして花月を望む
9. 不老知古事    老いずして古事を知る
10. 無友慰閑居    友なくして閑居を慰む
11. 不触知仏道    触れずして仏道を知る
12. 不恋思美人    恋せずして美人を思う
13. 不祈得神徳    祈らずして神徳を得る
14. 無薬散鬱気    薬なくして鬱気を散ず
15. 不厳嗜形美    厳ならずして形美を嗜む

謡曲によく登場する人物

源義経・弁慶

鞍馬天狗・橋弁慶・烏帽子折・熊坂・八島・正尊・船弁慶・忠信・安宅・摂待・錦戸

曾我兄弟

小袖曽我・夜討曽我・禅師曽我・調伏曽我・望月

小野小町

草紙洗・通小町・卒塔婆小町・鸚鵡小町・関寺小町

在原業平

井筒・杜若・小塩・雲林院・隅田川

西行法師

西行桜・江口・雨月・遊行柳

菅原道真

老松・来殿・右近

謡曲の出典等

小学館 「能狂言鑑賞ガイド」を参考とした。

平家物語・源平盛衰記

敦盛・生田敦盛・箙・大原御幸・景清・兼平・祇王・清経・小督・実盛・俊寛・正尊・摂待・千手・忠度・経政・巴・鵺・藤戸・船弁慶・通盛・盛久・八島・熊野・頼政 25曲

義経記

烏帽子折・熊坂・鞍馬天狗・正尊・摂待・忠信・錦戸・橋弁慶・船弁慶・八島・吉野静 11曲

源氏物語

葵上・源氏供養・須磨源氏・玉葛・野宮・半蔀 6曲

古事記・日本書紀

絵馬・大蛇・草薙・竜田・難波・三輪 6曲

伊勢物語

井筒・右近・雲林院・小塩・杜若・隅田川 6曲

古今集

女郎花・志賀・草紙洗・高砂・難波・松虫 6曲

太平記

嵐山・邯鄲・項羽・舎利・枕慈童 5曲

曽我物語

小袖曽我・禅師曽我・調伏曽我・夜討曽我 4曲

外国物

項羽・鍾馗・猩々・西王母・鶴亀・咸陽宮・皇帝・三笑・張良・邯鄲・天鼓・昭君・唐船・石橋・楊貴妃 15曲

難しい謡曲の曲名の読み方

宝生流の謡曲には、現在全部で180曲ありますが、読み方の難しいものもあります。
参考までに60曲ほど掲げてみます。

葵上(あおいのうえ)
海人(あま)
綾鼓(あやのつづみ)
蟻通(ありどほし)
歌占(うたうら)
善知鳥(うとう)
采女(うねめ)
梅枝(うめがえ)
雲林院(うんりんいん)
烏帽子折(えぼしをり)
老松(おいまつ)
小塩(をしお)
大原御幸(おはらごこう)
女郎花(をみなめし)
大蛇(おろち)
杜若(かきつばた)
鉄輪(かなわ)
通小町(かよいこまち)
祇王(ぎおう)
国栖(くず)
呉服(くれは)
絃上(けんじょう)
小督(こごう)
七騎落(しちきおち)
自然居士(じねんこじ)
石橋(しゃっきょう)
春栄(しゅんえい)
昭君(しょうくん)
猩々(しょうじょう)
正尊(しょうぞん)
西王母(せいおうぼ)
是界(ぜがい)
大会(だいえ)
当麻(たえま)
谷行(たにこう)
檀風(だんぷう)
藤栄(とうえい)
道成寺(どうじょうじ)
唐船(とうせん)
東北(とうぼく)
木賊(とくさ)
朝長(ともなが)
難波(なにわ)
鵺 (ぬえ)
野宮(ののみや)
半蔀(はしとみ)
鉢木(はちのき)
花筐(はながたみ)
班女(はんじょ)
氷室(ひむろ)
放下僧(ほうかぞう)
満仲(まんじゅう)
通盛(みちもり)
三山(みつやま)
六浦(むつら)
和布刈(めかり)
遊行柳(ゆぎょうやなぎ)
弓八幡(ゆみやはた)
熊野(ゆや)
楊貴妃(ようきひ)
弱法師(よろぼうし)
来殿(らいでん)
籠太鼓(ろうだいこ)

観能の手引き

東京近辺の主な能楽堂を記します。

名 称 住 所 電話番号
宝生能楽堂 文京区本郷1-5-9 03-3811-5753
観世能楽堂 渋谷区松濤1-16-4 03-3469-5241
喜多六平太記念能楽堂   品川区上大崎4-6-9 03-34918813
国立能楽堂 渋谷区千駄ヶ谷4-18-1 03-3423-1331
矢来能楽堂 新宿区矢来町60 03-3268-7311
梅若能楽院会館 中野区東中野2-6-14 03-3363-7748
銀座能楽堂 中央区銀座6-5-15 03-3571-0197
横浜能楽堂 横浜市西区紅葉ケ丘27-2   045-263-3050
鎌倉能楽堂 鎌倉市長谷3-5-13 0467-22-5557

入手しやすい謡曲・能関係の図書

私の手元にあるもので、今でも容易に手に入りそうなものを掲げてみる。

中森晶三著    能のすすめ     玉川大学出版部 1,200円
フォトカルチャー 能狂言鑑賞ガイド  小学館     1,500円
横浜能楽堂企画  初めての能・狂言  小学館     1,500円
写真とルポで訪ねる 大和路能のまつりの旅 檜書店   2,266円
写真とルポで訪ねる 京都能と花の旅  檜書店     2,233円
京都新聞社編   能百番を歩く    京都新聞社   2,060円
藤城継夫著    能謡こぼればなし  わんや書店   1,500円
藤城継夫著    能謡100問100答 第1集〜第3集 わんや書店 各冊400円(昭和56)
藤城継夫著    能への招待TU わんや書店 各冊850円(平成元年)
青木実著     謡蹟めぐり 全6冊 檜書店 各冊1,200円程度
白州正子著    謡曲 平家物語 講談社文芸文庫  1,050円
白州正子著    謡曲 平家物語紀行 上下巻 平凡社 各750円(昭和48)

(参考)

入手困難であるが、現在でも謡曲の語句の解説、曲の背景などの調査、謡蹟の調査 に大変重宝している次の二つを参考までに掲げてみる。

佐成謙太郎著 「謡曲大観」全7巻 明治書院刊行

初版は昭和5年に刊行された。昭和57年その影印版が発行されたものを入手。

木本誠二著 「謡曲ゆかりの古蹟大成」全5巻 中山書店刊行

昭和58年刊行。A4版の大きさで1冊250ページもの本が5冊、それにびっしり写真と説 明がつけられている。私も旅行に出かけるたびにこの本を頼りに旅行先の謡蹟を調べ、 その部分をコピーして訪ねて歩いた。これほど繰り返し頁を繰った本は他にない。

宝生流謡曲の稽古順と免状

宝生流の謡曲は180曲あるが、節の扱い方、位、心持ち、緩急等から自然に難易があ り、稽古の順番がきめられている。また稽古を受ける時には免状を受けなければなら ない。免状は宗家から出るが、それを申請するには自分のついている先生にお願いす る。稽古順は次の通り。

1 平物(ひらもの) (免状前) 30番

免状なしでも稽古も出来るし演奏も出来るいわば初歩のやさしい曲。

岩 船  右 近  鵜 飼  箙    大 蛇  金 札
草 薙  車 僧  胡 蝶  項 羽  鐘 馗  俊成忠度
舎 利  猩 々  西王母  殺生石  禅師曽我 忠 信
大仏供養 大 会  竹生島  土 蜘  鶴 亀  経 政
羽 衣  橋弁慶  飛 雲  枕慈童  吉野静  羅生門

2 入門 (免状1通) 77番

平物と併せると107番となり、180番のうち約60%となる。普通の稽古や謡会に出る曲 目はほとんどこの中に入っている。

嵐 山  芦 刈  蟻 通  敦 盛  生田敦盛 絵 馬
烏帽子折 老 松  小 塩  女郎花  大江山  加 茂
加茂物狂 咸陽宮  春日龍神 兼 平  杜 若  葛 城
花 月  清 経  祇 王  熊 坂  黒 塚  鞍馬天狗
国 栖  呉 服  源氏供養 皇 帝  小袖曽我 小 督
小鍛冶  三 笑  志 賀  春 栄  須磨源氏 是 界
高 砂  田 村  忠 度  龍 田  玉 葛  檀 風
谷 行  張 良  調伏曽我 巴    東 北  鳥 追
東岸居士 藤 栄  融    難 波  錦 木  錦 戸
鵺    野 守  半 蔀  氷 室  雲雀山  藤  
船 橋  船弁慶  放生川  放下僧  巻 絹  松 尾
松 虫  通 盛  六 浦  和布刈  紅葉狩  八 島
弓八幡  養 老  夜討曽我 来 電  籠太鼓

3 初伝 序之分 (免状1通) 25番

阿 漕  海 人  雲林院  釆 女  梅 枝  邯 鄲
鉄 輪  絃 上  鷺    桜 川  石 橋  七騎落
自然居士 正 尊  千 手  蝉 丸  草紙洗  班 女
百 万  富士太鼓 三 輪  三 山  盛 久  望 月
頼 政

4 初伝 奥の分 (免状1通)  15番

初伝となると大分難しくなります。

葵 上  歌 占  善知鳥  通小町  俊 寛  誓願寺
竹 雪  天 鼓  唐 船  花 筐  藤 戸  満 仲
山 姥  熊 野  楊貴妃

5 中伝 序之分 (免状1通)  9番

安 宅  井 筒  雨 月  高野物狂 西行桜  昭 君
野 宮  鉢 木  三井寺

6 中伝 奥之分 (免状1通)  9番

中伝までで全曲の90%強となります。

江 口  柏 崎  実 盛  当 麻  朝 長  芭 蕉
松 風  遊行柳  弱法師

7 奥伝 (免状1番1通) 11番

奥伝となると免状は1番1通となります。

綾 鼓  大原御幸  鸚鵡小町 景 清  砧   隅田川
摂 待  卒塔婆小町 定 家  木 賊  求 塚

8 別伝 (免状1番1通)  2番

翁    道成寺

9 三読物 (免状1番1通) 3番

「安宅」の勧進帳、「木曽」(廃曲)の願書、「正尊」の起請文の三つをさす。この 読物を含めて習う時はこの免状を受ける必要がある。

勧進帳  願 書  起請文

10 蘭曲 口之分 (免状1通) 6番

飛鳥川  一字題  実 方  玉 島  土 車  八 景

11 蘭曲 中之分 (免状1通)  5番

上宮太子 雪月花  玉 取  鶴亀曲  松浦物狂

12 蘭曲 奥之分 (免状1通)  4番

蘭曲は1曲をなしていない。廃曲の中で文章や節の面白い一段だけが残っているもの である。

島 廻  卒塔婆流 西浜八景 横 山

13 三老女 (免状1番1通) 3番

この3番は謡の秘奥。演奏は滅多にない。

姨 捨  関寺小町 檜 垣


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