君塚西行塚

謡蹟めぐり  江口 えぐち

ストーリー

諸国一見の僧が、天王寺詣での途中江口の里を通りかかります。ここは昔西行法師が一夜の宿を乞うて主の遊女に断られたといわれる旧跡です。旅僧が古事を思い出してその時詠まれた「・・仮の宿りを惜しむ君かな」という歌を口ずさむと、どこからともなく一人の女性が現れ、それは惜しんだのではなく出家の身を思って遠慮したのだと説明します。そして自分が江口の君の幽霊であるjと明かし、黄昏の川辺に消え失せます。
僧が奇特の思いに夜もすがら読経していると、月澄みわたる川面に江口の君や遊女達が舟遊びする光景が見えて来ます。そして彼女達は人間流転のはかなさを嘆き、四季の有情無情を語り、また五塵六欲の煩悩を悟すなどするうち、いつか江口の遊女は普賢菩薩の姿となり、舟が白象に変じるとそれに乗って西の空へと消えてゆきます。(「宝生の能」平成12年10月号より)

江口の里 (大阪市東淀川区江口)  (平3・9記)

江口の里は淀川と神崎川の合流点にあり、昔は東西の交通の要衝で、また海舟と川舟との接触地点であったため、非常に賑わった宿場であり、また盛んな遊女街であったとのこと。
現在は、その面影はさらになく、静かな住宅地の中に寂光寺(江口堂)があり、そこに「君塚・西行塚」がある。本堂の中に江口の君すなわち妙(たえ)の座像があるとのこと。できれば座像を拝観し、お寺のご朱印でもいただきたいと思ったが、お堂にもその近くにも人の気配がない。
やむなく、二人の塚にお参りしただけでお寺を辞し、すぐ近くの淀川の堤防にあがってみる。
川幅は広く、河川敷で土地の人たちが野球などやっている中をゆったりと淀川は流れていた。当時はこの近くまで海だったのだろうが、現在は川下の方を眺めても大阪のアパート群や鉄塔が見えるだけである。舟の姿は見あたらない。
「月澄み渡る河水に。遊女の歌ふ舟遊び・・・」今でも、月の出る頃になったら、遊覧船でも出るのかしら・・江口の君は見られるのかしら・・・・

江口の里碑 江口の里碑 昔は交通の要衝で盛んな遊女街であったという 大阪市東淀川区江口 (平3.9)

寂光寺 寂光寺(江口堂) 江口の君(妙)の木像が安置されるという 大阪市東淀川区江口 (平3.9)

君塚西行塚 君塚、西行塚 寂光寺境内にある (平3.9)

淀川江口の里あたり 淀川(江口の里付近) 往時の舟遊びを偲ぶのは難しい (平3.9)

江口の君堂  (大阪府大東市野崎 慈眼寺) (平13・3記)

大東市野崎の慈眼寺、通称野崎観音に江口の君堂がある。
江口の君(妙)が重い婦人病にかかり長谷寺に祈願したところ、野崎観音み参れとの夢のお告げでここに参籠し治癒したという。そのお礼に堂塔を建立した妙の功徳を称え、君堂が建てられたと言い、江口の君の像が安置される。

野崎観音 野崎観音 お染久松で有名な観音様である 大阪府大東市野崎 (平12.8)

江口の里碑 江口の君堂 野崎観音の境内にある 大阪市大刀市野崎 (平12.8)

江口の里碑 江口の君像 1年に1回開帳の由 慈眼寺由緒より (平12.8)


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