竹生島遠景

謡蹟めぐり  竹生島 ちくぶしま

ストーリー

醍醐天皇に仕える朝臣が、琵琶湖中にある竹生島の明神へ参詣しようと湖畔に来ると、老漁夫と若い女が釣船を出しているので、声をかけて同乗させてもらいます。のどかな浦々の春景色を楽しんでいるうちに、船は竹生島に着き、老人は朝臣を神前に案内します。女も同行するので、女人禁制の島と聞いていたがと問うと、老人と女は、弁才天は女性の神なので女人を分け隔てはしないなど、島の明神の由来を語ります。やがて二人は、実は人間ではないことを明かし、女は社殿の扉の中へ、老人は波間へと姿を消します。
しばらくして御殿が鳴動し、きらびやかに光り輝く弁才天が現れ、舞を舞います。やがて月光の澄み渡った湖上が波立ち、龍神も現れ、朝臣に金銀珠玉を捧げて勇ましい舞を見せ、衆生済度、国土鎮護を誓って、弁才天は社殿へ、龍神は龍宮へと帰ります。(「宝生の能」平成十三年一月号より)

竹生島参詣   (平2・3記)

昭和63年9月、念願の竹生島に参詣することができた。本曲では、ワキの「臣下」が都より逢坂の関を越え、鳰の浦(琵琶湖)に着き、真野の入江(琵琶湖大橋付近)で、シテの漁翁と話しあい、その釣舟に乗せてもらって、比良の嶺々を眺めながら竹生島へ渡ったのであるから、時間もずいぶんかかったことだろうし、それだけにのんびりと春の景色を楽しむこともできたであろう。
私たちは彦根港から正午に出発する船に乗る予定であったが、その前に参詣した西国札所の長命寺や、観音正寺で予想外に時間を費やしてしまい、タクシーで彦根港へ着いたときは出航寸前。私が料金を払っているうちに、家内に船まで走ってもらい、漁翁ならぬ高速艇乗務員にお願いして、ようやく便船を叶えてもらった。
所は海の上である。残念ながら比良の嶺々は霞んで見えない。
釣舟ならぬ高速艇だから早い。30分ほどで竹生島は眼前である。緑の多い島で「緑樹影沈んで」はよく理解できたが、「魚木に上る」ところまでは見届けることができなかった。
しかし、この文句はよく知られているとみえて、島にあがるとすぐ、「琵琶湖八景 深緑竹生島の沈影」の碑が目につく。また、近くの「琵琶湖周航の歌碑」も竹生島の印象を一層深いものにしてくれた。曰く、
「 瑠璃の花園 珊瑚の庭  古い伝への 竹生島
佛の御手に いだかれて ねむれ乙女子 やすらけく 」

高速艇 琵琶湖 高速艇で竹生島へ (昭63.9)

竹生島遠景 眼前に迫る竹生島 (昭63.9)

竹生島沈影 深緑竹生島沈影の碑 (昭63.9)

琵琶湖周航歌碑 琵琶湖周航の歌碑 (昭63.9)

竹生島神社 竹生島神社 (昭63.9)

かなり急な坂道を登ると竹生島神社と西国第30番札所の宝巌寺がある。お寺の中には弁才天が祀られている。念願の札所めぐりと謡蹟竹生島参詣を漸く達成することが出来た。

宝巌寺 西国30番札所 宝巌寺 (昭63.9)

弁才天 弁才天 (昭63.9)


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