末社長屋

謡蹟めぐり  右近 うこん

ストーリー

都に上って名所の花を見物して廻っていた鹿島の神主が、北野右近の馬場にも立ち寄って花に眺め入っていました。辺りには都の人の花見車があちらこちらに止まっていて、昔、在原業平が女車を見て詠んだ歌を思い出した神主が「見ずもあらず見もせぬ人の恋しくは、あやなく今日や眺め暮さん」と口ずさんでいると、どこからかとても優雅な感じの女性が供の女達を連れて現れ、神主に言葉をかけます。
そして、右近の馬場が北野の神の旅所であることや、花に事寄せて有難い神徳を讃えた後、実は自分が桜葉の神であることをほのめかして、月の夜神楽を待つようにと言って花の陰に姿を隠します。
神主がこの奇特を喜び有難がっていると、桜葉の神が美しい本体の姿で現れ、神の恵みを寿ぎ神楽を奏して舞い祝い、やがて雲の羽風に吹かれて遙か天上に消え失せます。(「宝生の能」平成12年4月号より)

鹿島神宮  (平13・1記)

本曲のワキは「鹿島の神職・・」と名乗る。鹿島神宮の神職と解して鹿島神宮の写真を掲げる。

鹿島神宮 鹿島神宮 神武元年創建と言われる古い社 茨城県鹿島町 (平1.8)

右近の馬場・北野天満宮  (平13・1記)

右近の馬場は北野天満宮の一の鳥居から東門に至る細長い地域で北野天満宮の境内の一部となっている。
嵯峨天皇大同2年に開かれたと言い、右近衛大将であった菅原道真公が好まれたので右近衛府の馬場、俗に右近の馬場と言われ、桜狩りが行われた桜の名所であった。
曲中に「紅梅殿や老松の・・」と謡われる、紅梅殿や老松社が立派な独立した社殿を与えられているのに、本曲シテの桜葉の神は12社の入った末社長屋の一つが割り当てられているのは気の毒のようにもおもわれる。

右近の馬場 右近の馬場 往時は桜の名所であった 京都市北野天満宮 (平12.8)

老松社 老松社 独立した社屋となっている 北野天満宮 (平12.8)

末社長屋 末社長屋 この中の一つが桜葉社である 北野天満宮 (平12.8)

桜葉社 桜葉社 末社長屋の一つに祀られる 北野天満宮 (平12.8)


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