飛火野

謡蹟めぐり  野守 のもり

ストーリー

出羽国の羽黒山の山伏が大峰葛城山へ参る途中、大和国春日の里を通りすがりますが、ちょうど一人の野守の老人がやって来たのに出会ったので、近くにあったいわれのありげな池について尋ねます。
老人はそれは野守が姿を写すので「野守の鏡」といっているが、本当の野守の鏡は、昼は人、夜は鬼となってこの野を守っていた鬼神の持つ鏡のことだと答えます。更に、古くから歌に詠まれている鷂の鏡の伝説までも語り、山伏が真の野守の鏡が見たいと言うと、鬼神の鏡は人間が見れば恐ろしかろうと、せめてこの水鏡を見なさいと言って塚の中に姿を消します。
土地の人から先の老人が野守の鬼の化身であろうと聞かされて山伏は、この奇特を喜んで塚の前で祈ります。すると鬼神が鏡を持って現れ、天地四方八方を写して見せた後、大地を踏み破って奈落の底へ入って行きます。(「宝生の能」 平成10年2月号より)

飛火野  奈良市春日野町 (平10・3記)

春日大社付近一帯は春日野町となっており、春日大社一の鳥居から浅茅が原を抜け、飛火野を過ぎて二の鳥居に向うこととなる。飛火野の地名はかって「のろし」をあげたことからついたという。本曲の「野守の池」が春日野のささやきの小径をたどり、あせびの森を過ぎた南隅の森の中にあるというので、かなり探してみたが分からなかった。
このあたり奈良公園の一角になっているようで、美しく整備された芝生や森のところどこりに池があり、曲に謡われるように美しい木陰を映し出している。
国立博物館と向かい合うように氷室神社があり、社殿の右手に「鷹の井」がある。本曲の野守の水鏡に因むものといわれる。「氷室」に関係ある神社として参詣したが、この「鷹の井」は見逃してしまった。

飛火野 飛火野あたりの池 まさに鏡のようである (平6.4)

奈良氷室神社 氷室神社 奈良市 (平6.4)


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