にない堂

謡蹟めぐり  船弁慶2 浄瑠璃姫、弁慶

浄瑠璃姫物語

義経は吉次に伴われ三河国矢矧の宿で、三河の国司である源中納言兼高の館に泊まる。
兼高の館址は岡崎公園とも矢作町馬場の「誓願寺」とも言われる。兼高には浄瑠璃姫という美しい娘がいた。義経は姫が管弦を楽しんでいるのをかいま見て、笛を吹いて和したのが縁となり、一夜の契りを結んだ。しかし義経は急ぐ旅なので、翌朝東に向かって出発した。誓願寺には義経の木像、浄瑠璃姫の木像、義経が形見に残した薄墨の笛が所蔵されているという。

誓願寺 誓願寺 愛知県矢作町馬場 (平7.2)

義経は東に向い田子の浦付近で重病に罹り瀕死の状態にあるのを、八幡のお告げにより知った浄瑠璃姫は急いで駆けつけ、息を吹き返させ、20日の介抱により義経の病も本復した。義経は姫に母の常磐から貰った薄墨の笛を与えた。姫は久能寺に納めたが、この寺が荒廃したため、山岡鉄舟が再建した清水市の「鉄舟寺」に所蔵されている由である。

鉄舟寺 鉄舟寺 清水市村松 (平9.2)

姫は9年間待ったけれども義経からは何の便りもないため、矢矧に帰り、矢作川の支流「大平川(菅生川)」に投身する。その場所は「成就院」の裏の川岸で、寺の墓地には「浄瑠璃姫の墓」がある。
姫の死骸は大平川を流れ下って、今の岡崎公園の入口に漂着した。ここにも浄瑠璃姫の墓が建てられている。また、前述の義経が一夜を過ごした館址ともいわれる誓願寺の境内にも「浄瑠璃姫の墓」がある。
一説では、義経一行が平泉を脱出して北海道に向かう途中立ち寄った、青森市東部野内にある貴船神社まで、姫は後を追ってきたが、病没したので義経はここに姫を葬り北行を続けたという。貴船神社の写真は「錦戸」の項に掲げた。

大平川 大平川 岡崎市明大寺 (平7.2)

成就院 成就院  岡崎市明大寺 (平7.2)

姫の墓成就院 浄瑠璃姫の墓 成就院 (平7.2)

姫の墓岡崎公園 浄瑠璃姫の墓 岡崎市 岡崎公園入口 (平7.2)

姫の墓誓願寺 浄瑠璃姫の墓 岡崎市矢作町 誓願寺 (平7.2)

弁慶の生い立ち

弁慶の生誕地と称する所はいくつかある。その一つは和歌山県の田辺市でここの熊野別当湛増の子として「闘鶏神社」の地で生まれる。境内には「湛増と弁慶の銅像」があり、社務所の中には「弁慶産湯の釜」のほか湛増着用の鉄烏帽子、湛増使用の鉄扇、義経が奉納したという白龍横笛、源平いずれに味方するか鶏に決めて貰った闘鶏の図の宝物が陳列されている。

闘鶏神社 闘鶏神社  和歌山県田辺市 (平10.3)

弁慶湛僧像 湛増と弁慶の銅像 闘鶏神社(平10.3)

闘鶏寺宝物 弁慶産湯の釜ほかの宝物 闘鶏神社 (平10.3)

新宮市にも湛増屋敷址があると言われ、熊野川を越えてすぐの三重県紀宝町には「弁慶産屋の址碑」がある。

弁慶産屋跡 弁慶産屋の址碑  三重県紀宝町 (平10.3)

また島根県松江市本庄町も弁慶生誕地とされ、近くに弁慶生誕の森、乱暴がひどくなり手に負えなくなり流されたという弁慶島、弁慶が修行した寺鰐渕寺などがある由だが、まだ訪ねていない。
弁慶島から石で海を埋めて帰った弁慶は枕木山に籠ったというが、枕木山の山頂には「華蔵寺(枕木薬師)」があり眺望が素晴らしい。奥の院の近くには弁慶が立てた高さ2メートルほどの弁慶立石がある由である。
少し離れるが出雲市高岡の「多福寺」の境内には「弁慶硯石」と称する大きな石が立っている。寺の説明には「境内の傍らに高さ六尺ばかりの一石あり武蔵弁慶携え来る」とあるが、弁慶がこれを持ってきて硯として使ったものであろうか。

華蔵寺 華蔵寺(枕木薬師) 松江市本庄 (平9.9)

多福寺 多福寺 出雲市高岡 (平9.9)

弁慶硯石 弁慶硯石 多福寺 (平9.9)

弁慶は6歳で比叡山に上らされたが、腕白が過ぎて山内を追われ、諸国を巡って姫路の「書写山円教寺」に上る。西国札所27番の寺で札所めぐりで参詣したが、まだ謡蹟のことはあまり調べていなかったので、ここに弁慶の鏡井戸があることも知らなかった。弁慶が昼寝して起きたところ一同が笑うので、この井戸に映して見ると顔一面に墨が塗られ、兄弟子の悪戯とわかり大喧嘩となった。そのためついに寺を悉く焼き払い、再び比叡山に戻ったといわれる。
比叡山では西塔に住み「釈迦堂」で修行した。釈迦堂は西塔の中心をなすお堂である。西塔の法華堂と堂行堂は同じ形の建物が二つ並んでいるが、力持ちの弁慶が渡り廊下をてんびん棒にしてかついだという伝説から「弁慶のにない堂」と呼ばれている。

円教寺 書写山円教寺 姫路市 (昭60.9)

釈迦堂 釈迦堂 大津市 比叡山延暦寺西塔 (平10.4)

にない堂 にない堂 比叡山延暦寺西塔 (平10.4)


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